こんばんは。本日2回目の更新です。
1回目は、面白かった読切漫画の記事を一個前で書いてますのでそちらもぜひ。
今回はキャラクターの輪郭について考えていきたいです。
『アオハライド』という漫画を読みました。
まだ2話目ですが、キャラクターの外に見せる性格と内側に抱えているもののギャップに心を掴まれました。
主人公は、内面の悩みから本来の自分とは違う外向けの自分を無理に演じている。
でもその主人公が隠してる内側を、昔を知る彼は見抜いていて…彼自身もまた昔とは変わっているのだけれど、彼の方はどういう内面の思いからそういう風になってしまったのかすらわかりません。
連載のなかで、彼の外側の印象に覆われて見えない内面がわかっていくんだろうな。と思いました。
1話と2話を読んだだけでも、キャラクターの見えていなかった面がどんどん明かされることを面白いと感じました。
少女漫画の連載は、キャラクター同士が外側に向かって行動して変わっていく。
でもそれと同時に、キャラクターの内側に向かってその変わらない部分を解き明かしていくものでもあるんだ。
そこまで考えて、彼が彼女に見せている部分、彼女が彼に見せている部分、一番外側のその部分はキャラクターたちの輪郭ではないかと思いました。
最初は、ガサツな感じの女の子といった外に見える部分しか描かれないけど、輪郭の内側にはその外側を作った理由や過去がある、もっと内側に隠している本当の自分がいる。
そのすべてを1話で描いてしまえないから、少しずつ少しずつ輪郭の中を細かく描きおこしていく。
そして内側が描きおこされることで、輪郭も変化して外の世界と関わって、相手のキャラクターの輪郭を変化させていく。
輪郭同士だったキャラクターたちが出会うことで、輪郭の中が浮き彫りになり、その結果変化していく輪郭を追うのが連載なのかな?と思いました。
数ヶ月前から、この輪郭を通していろんなものを見た気がします。
漫画で育ってきた私は、輪郭を見つけることは得意で、外側の大体の形をとるのは得意で。だからこそ、簡単には割り切れない複雑なものを複雑なまま理解することが苦手です。
でも、よくよく考えて見ると輪郭という概念も理解していたか怪しい。
輪郭は内側にあるものによって、始めて生まれる。私は内側を認識していなかったから、そのものごとの輪郭として、もっと単純な形の別のものを見ていたんだと思いました。
輪郭の中の見方を知ったきっかけがありました。
昨冬開催された、『乙嫁語り』の森薫先生と『北北西に曇と往け』の入江亜季先生の展示会。私は入江先生の絵が大好きで、ある読切のある一コマの絵を見ることをずっと楽しみにしていました。
展示会を見た時間の半分くらいの時間、その前ですごした一コマと同じくらい忘れられないことがあります。
それは作品ではなくて、先生がたの担当編集者さんが作品を見る際のポイントとして挙げられていた言葉でした。
写真を撮っていたので、そのまま引用します。(後で消すかもしれません。)
人物が世界と隣接する部分、つまり人物のいちばん外側の輪郭線にはいちばん太い線を引く。
人体の内側を表す線はそれより太くしない。これにより描線が多くても読みやすい絵になる。
太い線、中くらいの線、細い線を、人物の外、中、ディテールと引き分けること。
これも太、中、細と引き分ける。これをすべてのコマで行う。
多彩な線質の引き分けが鑑賞のポイントだ。
< 大場渉:「青騎士」編集長 >
漫画家•森薫と入江亜季展 -ペン先が描く緻密なる世界-森薫先生の作者紹介 から引用
漫画のように世界を見ることしかできない私だけど、それでもちゃんと現実に影響を与える作品を描き起こしていきたい。この考え方で漫画や世界を理解していけるのでは?と思って、それ以来ずっと心の中にあります。
具体と抽象などの言葉で、一般に語られるこのようなことが「輪郭」という自分に馴染みのある概念で説明されたことで、私はだいぶ生きやすくなりました。
人や物やことにはそれぞれ世界との間に太い輪郭があって、ひとりひとりの中には、またいくつかの輪郭があって、理解できないような複雑なこともそうやって分けていけば理解しやすい。
そして、輪郭だけで決めつけないで、輪郭の中身を構成する物事に目を向ける。でも没入せず、輪郭も見る。輪郭の形が変わっていないか観察する。
日常でもそうだし、創作においても、連載を続けるようにこの変化気づける人になりたいと思っています。
例えば、キャラクターの輪郭がいわゆるテンプレのツンデレだったとしても。
その内側にある、思いや理由や過去はそれぞれ違うもので。
内側は変わらないかもしれないけど、その内側を見つめることができれば
そのキャラクターの輪郭は変わりうるし、それに関わるキャラクターの輪郭も変わりうる。
テンプレであることも、ありふれていることも、描かない理由にはならないし
連載で魅力を出せる可能性があるなら、あとは自分の技術力でどうにかするしかない。
言い訳の余地を消し去り、描きたいものを描くしかないような気がしています。
今回はふわっとした話になってしまったかもしれません。
なにかあったら、教えてもらえるとうれしいです。